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2023年4月のステートメント

 4年目にあたる先月のフラワーデモのステートメントでは、性被害のない社会をめざす私たちのとりくみは「ゴールのないたたかい」と述べられていました。

それでもこの間に、いくつかの重要な変化をつくってきたことを私たちは大事にしたいと思います。最近では、「性的同意」のない強制的な性行為は犯罪とする刑法の改正に向けて政治が動きだしています。ようやくですが、フラワーデモがなかったら、この一歩もなかったでしょう。

 私たちの住む埼玉県所沢市ではフラワーデモを始めて2年経ちました。昨年春から配偶者暴力相談支援センターが開設されました。パートナーシップ・ファミリーシップ制度も昨年1月から開始しています。これらも貴重な一歩です。


 かつて、女性の解放をめざして声をあげた先人、平塚らいてうは、1911年、『青鞜』発刊に際して

「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。

今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のやうな蒼白い顔の月である。」

と冒頭に述べていました。この歴史的な文章は、次のような言葉で締めくくられています。


  女性解放が実現する時を描いて、

「最早女性は月ではない。

其(その)日、女性は矢張り元始の太陽である。真正の人である。

私共は日出づる国の東の水晶の山の上に目(ま)映(ば)ゆる黄金の大円宮殿を営まうとするものだ。

女性よ、汝の肖像を描くに常に金色の円(まる)天井(てんじょう)を撰ぶことを忘れてはならぬ。」

 

 見えないガラスの天井に頭上を抑えられてきた女性たち。その天井に気づき、だれもが見えるようにし、一緒に取り払おうと手をとりあって世界中の女性たちが行動を起こし始めています。ヒジャブに頭を覆うよう強いられた中東の女性たちも、いつかは脱ぎ捨てて「本当の私を見て」と誇り高く顔を上げて街を闊歩する時が来るでしょう。


 (昨日)4月10日は、1946年に日本の女性たちが全国的に初めて参政権を得て、投票所に心躍らせて向かった日です。集会にも堂々と参加し、互いに手をつなぐ自由を得た日。

それから77年たちましたが、制度はできても、「女こども」は一段下の二級国民、その声は聞かぬともよいという風土意識は頑強に変わらず、今に至っています。

 フラワーデモのこの4年は、声をあげられずにきた女性たちへの性暴力について、「ここにこんな理不尽なことがある。これをそのままにしておく社会でいいのか」と、問いを立てた画期的な動きでした。大集会という形ではなく、全国津々浦々、北海道から沖縄、そして海外のロンドンの街角まで、自分たちが暮らす街の中で、毎月、定例で二人、三人と集まって立ち、語るという形を選んで続けられてきたこと。劇的ではないけれど、静かにじわりと世の関心を集め、問題を提起するという新しい運動です。

 長い年月がかかっても、無駄に時は流れない。しかし、まだまだ道半ば。女性が太陽の輝きを取戻し、真正の人となるその日まで。黄金の円天井の下で、いやそれよりも、性暴力の温床であり続けてきた戦争の心配のない、晴れ晴れとした青天井の下で、私たちは集いたい。私たちは後戻りはしない。

 次のステップへ踏み出す決意をこめてまた歩き出す春です。 


                     2023年 4月  フラワーデモ@所沢

 

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