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2021年8月11日オンラインフラワーデモ:小田急線で起きたフェミサイド への抗議

8.11 フラワーデモ スピーチ

フラワーデモ富山発起人 吉岡星

 

皆さんこんばんは、フラワーデモ富山発起人の吉岡です

 

本日は先日東京の小田急線で起きた殺人未遂事件について伝えたいことがあり、お時間をいただきます。

 

小田急線で起こった事件は明確なフェミサイドです。

そして私はフェミサイドを許しません。

 

8月6日の夜、小田急線の電車の中で36歳の男性が刃物振り回し10人の乗客が怪我をしました。そのうち1名の方は女性の大学生の方で、7カ所刃物で切りつけられ、命は取り止めておられますが重傷でした。

 

この報道を見たとき私は真っ先に恐怖を感じました。

そして加害者の証言で「6年ほど前から幸せそうな女を見ると殺してやりたいと思っていた。誰でも良かった」と述べていた記事を読みました。

ああ、これはフェミサイドだと、明確に思いました。無差別な事件ではなくフェミサイドだと言い切りたいと思います。

 

この加害者の証言だけでも十分にショックでしたが、私をさらに驚かせたのは

「いやこれはフェミサイドではない」という言葉の数々です。

「怪我をしたのは女性5人男性5人だからフェミサイドではない」

「誰でも良かったと言っているからフェミサイドではない」

「たまたま狙われたのが女性だっただけで、これはフェミサイドではない」

 

加害者は、「6年前から幸せそうな女を見ると殺してやりたいと思っていた」と言っているのに。

『男にチヤホヤされてそうな女性を殺してやりたい』『(重傷の女子学生が)勝ち組の典型にみえた』と言っているのに。

 

こんなにも明確な「女性を殺してやりたい」という供述を聞いてもなお、「小田急線で起きた事件は、女性が女性であるということを理由に、殺される/殺されそうになるフェミサイドではない」とどうして言えるのですか。

 

加害者についての記事で、「女好きでよくナンパをしていた」という記事が上がっていました。記事のタイトルはー「女好きでよくナンパ」“10人刺傷”男の意外な素顔―と書かれていました。

これは意外でも何でもありません。

女性を好むことと、女性を殺したいほど憎む事は表裏一体です。

その根源は、「女性」を「女性」としてしか見ていないことにあります。女性を自分と同じように意思があって、選択肢があって、断る権利も抵抗する権利もある、1人の対等な人間だと思っていないのです。当然のことを申し上げますが、女性は女性である前に、1人の人間です。誰に殺されていいわけでもありません。

 

「一度立ち止まってみて」「いやこのような加害者の背景を踏まえると」

そのような「冷静な声」をたくさん聞きました。

 

背景にはいろいろなものがあったのでしょう

何が加害者を殺人未遂にまで導いたか、今後繰り返されないために、何が介在していればこの事件が起こらなかったのか、その検証は大事なことです。行われるべきだと思います。

しかしそれらを理由に「女性が女性であることを理由に殺されかけた」ことを透明化して「フェミサイドではない」などと言うことは、「女性が女性であることを理由に殺されかける」ほどジェンダー不平等な社会であることを無視し、軽視することにはなりませんか

 

「これはフェミサイドではない」と言う前に、なぜ自分はこの事件を聞いて冷静でいられるのか、命の危機を感じないのか、命の危機を感じる人がいるという想像力が働かないのか、一度振り返ってみることをおすすめします。

 

この事件のあらましを聞いて、

ああ、自分は生きているだけで誰かに命を狙われても仕方のない存在なのだ。

ただ生きているだけで命を狙われることを「それはおかしい」と言わない声がこんなに溢れている、そんな社会で生きている

この実感を嫌でも突きつけられる事はその名の通り「命の危機」です。

事件が起こる8月6日の前日に、私は夜ふとお腹が空いて近所のコンビニに行きました。家を出てただ買い物をしてふらっと帰ってきて、家でお菓子を食べました。

8月7日の夜、ちょっと風に当たりたいなぁコンビニでも行くか。そう思った時、私は家の外では出られませんでした。

 

別に守ってくれなんて言っていません、刺されそうになったら盾になってかばってくれとも言っていません。

 

ただ安全に生活を送りたいんです。

家から出て、仕事に、学校に、買い物に行って、ただ安全に命を脅かされずに家に着きたい。殺されたくない、ただそれだけです。

 

差別を是正するときに、真ん中になんて立てません。

それはただ、フェミサイドが起こるような女性差別に加担するだけに過ぎません。

フェミサイドをなくすには、被害に遭いやすい側の立場から、フェミサイドの要因となるような女性差別なんて気にしなくてもなんの損失もない立場に向かって「これはフェミサイドである」と言わなければなりません。可視化していかなければなりません。

そこで初めてフェミサイドをなくすためのスタートラインに立てると思います

 

幸せそうという理由で私たちを殺さないで、と私はお願いしません

幸せそうという理由で私たちを殺すな 

 

最後にもう一度お伝えします。

小田急線で起こった事件は紛れもなくフェミサイドです。

そして私はフェミサイドを許しません。

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